
この季節になると思い出します。京友禅の染色作家になりたくて19才の春、山口から京都に一人でやってきました。
日本染織学園に入学し、下宿は苔寺近くの松尾橋、染色の勉強に励む一方、毎日のようにあちこち出かけ、観るもの聴くものすべてを貪欲に吸収したいという思いで感性を磨く努力をしたものです。
舞妓さん、芸妓さんの着物の柄や色を見たくて五花街の春の踊りも全部行きました。美術館も全部観てまわりました。
京の都で見るもの聴くものがなんと美しく新鮮だったことでしょうか。全身で文化に触れる日々でした。
「祇園あきしの」が五感で感じる京料理を追い求める姿勢はその頃から培われたのだろうと思います。